かぜの日曜日
−前編−
それはある、日の曜日の事だった。
彼女−アンジェリーク・コレットはその日を楽しみにしていた。
何の変わりのない、普通の日の曜日。
彼女にとってその日は特別な日だった。
なぜなら、その日、彼女は風の守護聖と会う約束をしていたからである。
風の守護聖ランディ。
真面目な彼にアンジェリークは惹かれていた。
そのことを自覚したのはつい最近。
ようやくの待ちに待ったデートなのである。
それなのに・・・。
(風邪を引くなんて・・・。)
熱もあるようである。
それでも、何とか着替えをすませたアンジェリークは、寮から出た。
「何やってんの、アンジェリーク。」
寮を出ると同時に声をかけられた。
「レイチェル・・・。」
声をかけてきたのは、彼女の女王試験のライバル、レイチェルであった。
「アナタ、何かふらふらしてるよ?」
その言葉にぎくりとなりつつ、彼女は無理やり笑みを浮かべた。
「そう・・・?」
そんないつもと違う様子におかしいと思ったのかもしれない。
レイチェルはなおも食い下がってきた。
「そうだよ、何か顔も赤いし・・・。」
レイチェルはアンジェリークに近づくと、その額に手のひらを当てた。
レイチェルの手は、冷やりとしていて気持ちいい。
「ちょっ・・・、アナタ、熱があるじゃない!?」
その後のレイチェルの行動は速かった。
アンジェリークの腕を掴むと、すぐに彼女の部屋へと向かう。
「レイチェル・・・お願い、行かせて!」
それでもアンジェリークは必死に抵抗する。
せっかくのランディとのデートなのだ。
「何言ってるの!?アナタ、熱があるんだよ!!」
そんなアンジェリークを叱り飛ばすとずるずると彼女を引きずって部屋に入る。
「ほら、さっさと着替えて寝ときなさい。」
「でも・・・」
まだなにか言いたそうなアンジェリークをレイチェルは睨んだ。
「アナタの身体はアナタだけのものじゃないんだよ!!」
今は女王試験の最中なのだ。
彼女の身体に何かあって困るのは彼女だけではない。
レイチェルの言葉はもっともだった。
「レイチェル・・・。」
レイチェルの言葉にアンジェリークは頭が下がる思いだった。
(私・・・自分の事しか考えてなかった・・・。)
ようやく行くことを諦めた様子のアンジェリークに、レイチェルはもう一度繰り返した。
「さっさと着替えて寝ときなさい。氷貰ってくるから。」
言葉を残して部屋を出ていく。
なんとか着替え終わってアンジェリークが横になっていると、レイチェルが入ってきた。
ピタリと冷たいタオルを載せてくれる。
「寝ていいよ。傍に居るから。」
優しく言ってくれる。
「でも・・・レイチェル、今日の予定は・・・?」
「ダイジョウブだよ。」
レイチェルが優しく微笑む。
彼女にだって予定はあるはずなのに・・・。
「ありがとう、レイチェル。」
アンジェリークは礼を言うとそのまま眠りに落ちていった。
初のアンジェリーク(茶)ネタです
そして、二度目の女王試験の真っ最中。
何となく『聖地を去る夜』に似たような感じが・・・。
まぁ、気のせいです。そういうことにしておいてください。(爆)
そして、続き物。
タイトルの『かぜ』は『風の守護聖』と『風邪』の二通りの意味があったりします。
(かぜが流行っているので風邪ネタ。)
本当は『かぜの日の曜日』・・・なのですが・・・。
何か変な感じがしたので『かぜの日曜日』に。
・・・せっかくのランディ様が相手役なのに、出せてない・・・。
後編では出せるといいなぁ・・・。
そう言えば、「ほら、さっさと着替えて寝ときなさい。」ってレイチェルのセリフじゃないように思えるんですけど・・・。
(↑レイチェルだったら何と言うんでしょうか・・・?)
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