「ただいま、アンジェリーク・・・。」 声に驚いてアンジェリークが振り向くと、ロザリアが居た。 「どうして・・・?」 呟く声は震えている。 一瞬嫌な考えが胸によぎる。 振られたのではないか・・・と。 「ありがとう、あなたのおかげよ。思いを遂げられたのは・・・。」 ロザリアが言う。 その言葉に合点がいった。 ロザリアは、きっと別れを言うために来たのだ。 思わず涙がこぼれた。 「ちょっと、何で泣いてるのよ。」 ロザリアがビックリして言う。 「だって、もう二度とロザリアと合えないかと思うと・・・。」 その言葉に、ロザリアは苦笑する。 「ばかね、私は何処にも行かないわよ。」 「・・・?だって、思いを遂げたって・・・。」 「そうよ、確かに思いは遂げたわ。でも、私は残る事にしたの。 きっといつか、会えるもの。」 それはロザリアの中にある確信だ。 だから、再び会う日まで待つ事にした。 「ロザリア。」 泣きながら抱きついてくるアンジェリークに苦笑し、決意する。 そう、再び会う日まで、彼女を支えていこうと・・・。 (後編)へ 「お久しぶりねヴィクトール。」 ロザリアは微笑んだ。 二人の間にはますます年の差が出来ていた。 しかしそんなことは問題ではなかった。 「お久しぶりです、ロザリア様。」 その言葉に、ロザリアはヴィクトールをきっと睨んだ。 「ヴィクトール、敬語はやめてと言ったでしょう?」 「あぁ、すまない、ロザリア。」 久々なので勝手が狂うと、ヴィクトールが弁解する。 それに微笑みで返すとロザリアは切り出した。 「ヴィクトール、この地での育成が終わったあとの事だけれど・・・。」 まだまだ先の事に思える。 このアルカディアでの育成が上手くいくとも限らない。 でも、ロザリアは信じていた、絶対に大丈夫だと。 「陛下の護衛について欲しいの。」 それは、別れた日から考えていた事だった。 どうすれば一緒に居られるか、それを考えた結果だ。 「ロザリア・・・。」 ヴィクトールは驚いた顔をしている。けれどすぐに笑顔になった。 「あぁ、俺で務まるなら。」 二人はどちらからともなく手を繋いだ。 二度とはなれないように・・・。
Fin
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