聖地を去る夜
−前編−
「ふぅ・・・。」
青い髪の麗しい女王補佐官がため息をつく。
今日何度目かのため息。
髪と同じ色の瞳は愁いを帯び、いつもと別人のような印象を受ける。
「ロザリア・・・。」
声をかけられ、ロザリアはびくっと声のした方に振り向く。
そこに居たのは、金の髪の女王。
「陛下・・・。どうかなさったのですか?」
いつもなら、ノックもせずに、とかむやみに出歩くなとかお小言が飛んでくるのに、
今日はその余裕さえないようで、それがかえって痛々しい・・・。
「ロザリア・・・いいの?」
ためらいがちに女王が尋ねる。
先日、女王試験が終了した。
新しい宇宙は亜麻栗色の髪の女王を戴き、
新しき宇宙の女王とその補佐官は昨日この宇宙を発った。
彼女達のために聖地に招かれた者たちも近いうちにはここを去るだろう・・・。
「なにが、ですか?」
ロザリアがしばらくの間を置いて訊ね返す。
ムリに微笑んで・・・。
何故彼女は、自分のことになるとこうなのだろう・・・。
かつて自分が女王となる事が決まった時、
それでも思いを伝えるべきだと言ってくれたのは彼女だったのに・・・。
女王は悲しげな微笑を浮かべると、しずかに、しかしはっきりと言った。
「あの方の事・・・。明日、ここを発たれるんでしょう?」
ロザリアの顔が少し動いた。
「私が気付かないと思ってるの、ロザリア?」
「陛下・・・。」
ロザリアが小さな声を洩らす。
「それとも、私に遠慮しているの?なら、そんな遠慮必要ないわ。」
女王は微笑んで、キッパリと言う。
「ねぇ、ロザリア。あなたには私に出来なかった事をして欲しいわ。
あの時、私は思いを伝える事が出来なかった・・・。
きっと怖かったのね、全てを捨てる事が・・・。
だけど、今でも、もしもあの時って思う事があるのよ。
あなたも私も女王と補佐官である前に一人の人間。思いを止める事は出来ないわ・・・。」
思いを止めても、さらに苦しくなる事を彼女は知っている、だから・・・。
「だから、いってらっしゃい、ロザリア・・・。」
「アンジェ・・・。」
にっこりと微笑んだ女王にロザリアは微笑を返した。
「ええ、いってくるわ・・・。」
気高い笑みを残して、ロザリアが部屋を去る・・・。
それでこそ彼女の好きなロザリアだ。
誰よりも気高く、美しい・・・。
きっと、彼女は思いをとげるだろう。
(少し、寂しくなっちゃうわね・・・。)
自分の言い出したことなのに・・・。
でも、彼女には幸せになって欲しかった。
自分のような思いだけはさせたくなかった・・・。
辺りに誰も居ないのを見て、女王は声を押し殺して泣いた・・・。
この話の元ネタはクレヨンし○ちゃんだったりします。(爆)
お泊り保育の話で、三石琴乃さん(アンジェのロザリア役)演じる幼稚園の先生と
立木文彦さん(アンジェのヴィクトール役)のキャラがいちゃついてたんです。(笑)
で、これだ〜と思って書きました。
・・・がロザリアの相手役を出さなかったせいで変な方向に。
なんだかなぁ・・・。(口癖)
アンジェ×ロザリアみたいに思えるのは私の気のせいでしょうか・・・?
(気のせいならいいんだけど・・・)
後編ではヴィクトール様に頑張っていただきましょう(苦笑)
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