37.5
<後編>



ピピピ

測り終わったのを告げる、体温計。
それを取り出すと、
体温計は確かにゼフェルの体温を示していた。

37.5℃

普通なら微熱といった所だろう。
でも、平熱の高いゼフェルには苦しいんだろうな、と思った。

「ランディ、水が欲しい。」

その言葉さえ気だるげで、俺はいそいそとコップに水を注いだ。
それからそのコップをベッドサイドにあるテーブルに置くと、
ゼフェルの体を起こそうとその体に触れる。

「飲ませてくれよ?」

少し汗をかいた体に触れた瞬間、ゼフェルがそう言った。
意味を取りかねた俺はアイツを見た。
目が合った瞬間、アイツがニヤリと笑う。

それでようやく意味がわかった俺は、
顔が熱くなるのを感じてゼフェルをキッと睨んだ。
ゼフェルが意地悪くニヤニヤ笑う。
それに少しムカついて、俺はコップの水を含む。

そして、そのままゼフェルに口付けた。

驚いたようにゼフェルが少し目を見開いた。
俺はそれを見ないようにして、口付けを深くした。
見れば羞恥心が募るから。
そして、含んだの水をゼフェルへと流し込んだ。

全ての水をゼフェルに与える。
俺はようやく終わったと少し安堵しながら口を離そうとした。

けれど・・・。
離そうとして、出来なかった。
ゼフェルが、俺の頭を後ろから押さえたから。

キスから逃れようと暴れようとして、相手が病人だって思い出した。
それで一瞬固まったのが敗因だろう。

動きを止めた俺の口内にゼフェルの舌が侵入してきた。

「・・・んっ。」

せめてもの抵抗にと、ゼフェルの舌を押し出そうとする。
けど、どうやら逆効果だったらしく、ゼフェルの舌は難なく俺の舌を捕らえた。
絡んできた舌は、いつもより少し熱い気がした。

絡めとられた舌を、吸われる。
それだけで徐々に力が抜けていく。

とうとうコップが手を離れていった。
カタリと音を立ててプラスチックのコップが床に転がる。

ガラスじゃなくてよかったとか。
中身が入ってなくてよかったとか。

そんな事を考える余裕は、次の瞬間霧散した。

ゼフェルの熱い手首が俺の手を捉えている。
組み敷かれて、下からゼフェルを見る。

何度も見た光景。
それでも慣れるなんて事はなくて、こういう時はいつも何も考えられなくなる。
体は言うことを聞かないし、自由になる思考もない。
ただ、あるのはバクバクと脈打つ心臓の音と、赤い紅いゼフェルの瞳。

動けなくなった俺に、ゼフェルが触れるだけのキスをくれる。
それでようやく俺の体は自由を取り戻す。

「何するんだ!?」
「何って・・・決まってるだろ?」

ニヤリとゼフェルが意地悪く笑い、もう一度キスされた。
最初のキスと同じように深い方のキス。
でも、もっともっと深い、熱を呼び覚ますような・・・。

自由を取り戻した体は、それでまた、徐々に力を失っていく。
俺が完全に体を動かせなくなるまで力を奪って、
ゼフェルはニヤリとまた笑った。
もう、睨む力もなく、俺はぼんやりとゼフェルを視線で追う。

ゼフェルの唇が首筋に落ちた。
視覚と触覚でそれを感じて、体が無意識に震える。
唇で乱れた衣服をゼフェルが奪う。

ヒヤリとした外気に俺はまた震えた。

「ゼフェルっ!」

何とか止めなくては、と叫ぶように名を呼んだ。
だけどゼフェルの手は止まらない。
そして、そのまま俺の言葉に耳を貸す事無く服を脱がせ終わったアイツは、
俺の胸に舌を這わせた。

熱かった。
アイツの舌が。
やっぱり、熱があるせいで舌まで熱くなってるのかも知れない。

「ア・・・ッ・・・。」

いつもよりリアルに舌の動きを感じて、堪えていた声が漏れた。
それに気を良くしたのか、ゼフェルが胸を吸う。
痛いくらいに。

意識が胸に集中した。
更にリアルにゼフェルの舌の動きを感じた。

意識に靄がかかっている。
それが辛うじてわかる現状に、だけど何も出来ない。
靄を晴らす手は、俺にはない。

ガチャリ。

どこか遠くでその音を聞いた。

アレは何の音だろう?
金属の音。

ソコまで考えて、少し、靄が晴れた。
コノ音は・・・!

「ゼフェル・・・ッ・・・。」

だけど、気付くのが遅かった。
靄は少し晴れたけど、体はまだ力を失っていて。
難なく俺は下衣も奪われた。

ゼフェルの手が間髪空けず、俺のモノを捉える。

「ゼフェル・・・ッ・・・ァ。」

甘くかすれた声に気を良くしたように、ゼフェルが俺のモノを扱く。
体がビクビク震える。
また、思考が靄の奥へやられる。

「いいのか?」
「ン・・・。」

頷く俺の額にゼフェルがキスを落とす。
手は相変わらず俺を追い詰めながら。

不意に、水音がした。

「?何・・・?」
「慣らさねぇとキツいだろ?」

見ると、ゼフェルが水差しから手を出す所だった。
その手はそのまま俺の蕾へと沿わされる。
逃げようとすると、ゼフェルが俺のモノを愛撫した。

「ふ・・・ァ・・・ぁ・・・。」

逃れ損ねたその瞬間、ゼフェルの手が俺の中に入る。
水に濡らされたせいか、特に違和感はない。
それでも、その冷たさにビクリと体は震えた。

「何もないよりマシだろ?」

その瞬間、ゼフェルは俺の感じる部分を突いた。

「あ・・・ァ・・・ぁ・・・。」

俺のモノの先から雫が漏れるのを感じた。
それにさえ体が震える。
普段なら羞恥を感じるだろうけど、そんな感覚は靄に消されている。

何度も何度もゼフェルは俺のいい所を突いた。
やがて、俺の雫が蕾まで伝ったせいか、
はたまた蕾自身が解れたせいか。
ゼフェルの指の動きがだいぶスムーズになった。
動くたびに湿った音さえする。

その音を他人事のように聞いていると、ゼフェルが指を抜いた。
蕾に押し当てられるゼフェルのモノ。

「いいか?」
「ん・・・ィぃ・・・ょ?」

許可の証のように、ゼフェルの口に自分から触れる。
それに、意地悪くではなく微笑んで。
ゼフェルが中に入ってきた。

その圧迫感に思わず息を詰めて。
でも、ゼフェルの楔が俺のいい所をついた瞬間、
圧迫感は気にならなくなった。

変わりに引き出された熱はもう、限界寸前で。

ゼフェルがもう一度俺のいい所を突いた時、俺は自身を解放した。

ゼフェルの熱い体温を感じながら。



・・・翌朝、俺にゼフェルの風邪がうつったのは言うまでもない。(泣)










最後はギャグ風味(?)ですが。
まぁ、うつるのも当たり前かな〜と。(笑)
ランディ様には災難この上ないですけど。(笑)
ちなみに続きが裏+Underにあったりします。
興味のある方はどうぞ。
・・・にしても、古い作品を読む事は罰ゲームに等しく。(苦笑)
それを手直しするのは、かなり難しいです。(汗)