モノクロ
モノクロの世界で生きていた。
気付けば、世界は色を失って。
俺の世界はモノクロへと姿を変えていた。
聖地に連れてこられたのは突然。
故郷が好きだったワケじゃない。
けれど大した心積もりも出来ないままにつれてこられた聖地は、
確実に故郷より嫌な場所だった。
口うるさいオッサンが守護聖らしくしろと言う。
鬱陶しくなるほど、繰り返す。
守護聖らしく?
なんだよそれ。
勝手に連れて来たクセに。
俺の中に浮かぶのはそんな反論。
でも、それさえもメンドくさくて、俺は逃げた。
どうせ堂々巡りだと諦めて。
その実、諦められなくて。
精一杯の反抗として、逃げた。
いつしか世界は色を失い、
思い出にある故郷さえもモノクロに埋もれ、消えていく。
モノクロの世界に住む俺は、ソレに気付かず、慣れていく。
反抗しながら。
逃げながら。
だけど世界に染まっていく。
全てがモノクロに変わろうとしたそんな時だった。
アイツが聖地に来たのは。
アイツと俺が出会ったのは。
聖地に来た2人の天使。
その片割れのアイツは俺の世界に飛び込んできた。
そして、再び、色をもたらした。
俺の中の世界が再び色を取り戻し、動き始めた。
鮮やかな色の中で、俺は今を過ごしている。
傍らには、もう俺だけの天使。
モノクロの世界は、今はもう何処にもナイ。
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実はアンジェノーマルお題創作の中で一番気に入っている作品だったりします。
一応、ゼフェロザのつもりでした。
ゼフェルの一人称です。
ロザリアの一人称よりは楽でした。(笑)
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