一筋の涙が、頬を伝った。

『行かないで。』

言えなかった言葉を、唇がかたどる。
それでも、それは結局声にはならなかった。

その言葉を言いたかった時、彼女はそれを許されなかった。
伝えたくても、どうしても言えなかった。

大切な人。
この世界でただ一人、彼女が恋をした相手。
想いを伝えることは、叶わなかったけれど。

それでも、風化しない、想い。

『行かないで。』

もう一度、唇がその言葉をかたどる。

あの時。
あの人が去ろうとするあの時。

言いたかった言葉。
けれど、言えなかった言葉。

その言葉を言ってはいけないと分かるほどには、彼女は時を重ねていた。
新たな道があると知るには、幼すぎた。

だから、言えなかった言葉。
今も、胸の中に沈む言葉。

今なら、伝えてよかったと分かるのに。
今なら、伝えていれば『今』が変わっていたと分かるのに。

それでももう、今更で。
だから、彼女は涙をこぼした。

あぁ、そういえば、あの時は泣くことさえ許されなかったとそう思いながら。
それが自分の罪だと、懺悔しながら。
それが自分の愚かさだと、哂いながら。

「行かないで。」

吐息とともに、言葉はようやく声になった。
今も色あせない、その想い。

もう、何に縛られることも無く、ロザリアは泣いた。
胸の中で、何度もその言葉を繰り返しながら。

『行かないで』

けれど、その言葉を伝えたい人は、もう居ない。









という訳で、オス×ロザの3部作(?)の最後のお話です。
女王の任を解かれた後のロザリアの話となっております。
・・・暗いですね。
救いようも無く暗いです・・・。
ロザリアを幸せにしたいのは山々だったんですけど。
でも、4人の女の子sの内、一番綺麗に泣くのはロザリアだろうなぁと思ったんです。
そして、犠牲者に。(ぉ)
ロザリアFanの皆様、ゴメンナサイ・・・。