いつものように知り合いのアトリエに来て、
あいつにやるリングをどうするか考えていた・・・
クローバーをモチーフにすることは決めた。
でも、あいつのイメージにぴったりな型が思いつかない・・・
これじゃあ、誕生日に間に合わないな・・・
悶々と悩み行き詰まっている葉月
すると、アトリエの持ち主である
柊 嵐
彼が、葉月の行き詰っている様子を見かねて前の席に座り
「珪にしては、かなり行き詰っているな〜
もしかして、考えているリングを彼女にやるのか？」
葉月の描いていた、下書きのリングのデッサンを覗きながらぼんやりと言うと
「嵐さん・・・
彼女じゃない、でも・・・
とても大切な奴に・・・」
真面目に答えながら、デッサンを描き続ける葉月
そんな葉月を見て、柊は微笑んだかと思うと席から立ち
どこからか、１つの小さな箱を持ってきて葉月の前に置いた
「？」
「珪・・・
よかったら、この箱の中にある石使わないか？」
箱のふたを開けると中には
高価そうな石から安物の石がいくつも綺麗に並べられていた。
「これ・・・」
葉月が中身を見て呟くと、
柊が微笑みながら
「綺麗だろ？
俺のコレクションの中でも一番古いのだが・・・」
そういうと、柊は箱の中から１つだけ石を取り出し
光がある方に石を掲げ見つめている
しかし、葉月は
リングには石を使うつもりはない・・・
このリングには・・・
そんなことを考えながら、箱の中身の石を見続けていると
１つの石に目が留まった。
その石を手に取り
柊のように光がある方に石を掲げ見つめる
石はとても優しく包んでくれそうな感じだった・・・
この石・・・
あいつみたいな石だな・・・
きっと、似合うだろうな・・・
そんなことを考えていると
気がついたら、あいつがこの石を身に付けている姿が浮かんだ・・・
誕生日には、リングは間に合わないが
これなら、あいつに似合うだろうし間に合うだろう・・・
「嵐さん・・・
これ、頂いていいですか？」
柊は石を見ながら
「いいぞ〜
ただし、どんなのを作るつもりか教えたらな！」
そういうと、葉月はデッサンをし始め
あっという間に完成し
そのデッサンを柊に見せると柊は満足そうにし
石を箱から取り出し、葉月に渡し
「この石は、ムーンストーンって言って
幸せを呼ぶ石と呼ばれている・・・
珪や、珪の大切な奴に幸せが訪れるといいな！」
そう言って箱を片付け始める柊
葉月は柊から貰った石を見つめながら
幸せか・・・
俺はあいつが幸せなら・・・
あいつがずっと微笑んでいるなら・・・
それだけで、十分幸せだ・・・
