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この国に来て、たくさんの『はじめまして』に出会った。 この国に来て、たくさんの『はじめまして』に会った。 この国に来る前にも会ったはずのたくさんの『はじめまして』。 けれど、僕はそれに気付かず過ごしていた。 それが当たり前になっていた。 だけど、この国に来て何かが変わった。 意識の差で世界はこんなにも変わるものだと気付いた。 それを気付かせてくれた、たくさんの人との『はじめまして』。 人ばかりじゃない。 移住した時、この国とさえ『はじめまして』だった。 たくさんの『はじめまして』を繰り返し、僕はその『はじめまして』に感謝する。 僕を変えてくれたことを。 僕の世界をこんなに輝かせてくれたことを。 なかでも一番の『はじめまして』はモニカと出会ったことだろう。 彼女と過ごしたときはドキドキして。 芽生えた気持ちも『はじめまして』で。 あぁ、そういえば。 それが恋と気付くまで時間がかかったっけ･･･。 『はじめて』の告白。 『はじめて』のデート。 『はじめて』のキス。 『はじめて』のプロポーズ。 目まぐるしい、付いていけないほどの『はじめまして』のオンパレード。 やがて、『はじめて』の結婚を経て僕らは家族になった。 家族になって『はじめて』二人で過ごした日。 家族になって『はじめて』愛してると囁いた日。 どれも鮮明に覚えている、僕の大切な『はじめて』。 そして今。 僕は『はじめて』出産に立ち会っていた。 モニカの『はじめて』の出産。 おろおろして。 何も出来なくて。 できる事はただ、頑張ってねと声をかけること。 無力な自分に嫌気が差して、僕は彼女の手を握った。 長いような、短いような時が･･･過ぎた。 やがて大きな声を上げて、男の子が産まれた。 可愛い僕たちの子供。 はじめまして。 これからよろしくね、ユリス。 そっと僕は囁いた。 |
