Lovers



一緒に歩いていると、たくさんの人たちが振り返る。

溜め息をつき、彼を見る女の子達。

その視線は、次の瞬間、こなみへの羨望の視線へと変わる。

彼に視線を送るのは、女の子達ばかりではない。

男性達からも、女の子のものとは別の視線・・・憧れに似た視線が送られる。

それさえも納得できるような人だった、今彼女の隣を歩いている葉月珪という人は。

複雑な思いを胸に、こなみはそっと葉月を見た。

「どうした?」

目があって、葉月に尋ねられる。

こなみは『なんでもない』と首を振って、笑って見せた。

その思いは彼女のエゴで・・・だから、葉月に知られたくなかった。

「そうか?」

疑問を持ちながらも、それ以上葉月は追及しなかった。

再び、前を向いて歩き出す。

そんな葉月に感謝しながら、こなみは今度は気付かれないように葉月を盗み見る。

葉月は格好いいと思う。

それは、雑誌のモデルをしている事でも証明済みの事実。

だけど・・・。

彼女が惹かれたのはその優しさだった。

それでも、こうして二人で出かけると自信をなくす。

他の少女達の視線が、つり合わないと言っているようで・・・。

「こなみ!?」

ふいに葉月に名を呼ばれはっとする。

(え?)

体が宙に浮きかけて、こなみはとっさに目を閉じた。

瞬間、腕を取られる。

「大丈夫か?」

心配そうな声にようやく目を開けると、目の前に階段があった。

「ぼーとしてんなよ。」

葉月が苦笑するのが気配でわかる。

けれど、その声は優しくて・・・。

(やっぱり優しい・・・。)

その優しさにほっとしてこなみは振り返り、葉月に微笑んだ。

誰にでも優しい人ではなかった。

だからこそ、その優しさに安心する。

今は葉月の優しさを信じよう。

いつか、胸を張って隣を歩けるようになるまで。

葉月とつり合えるようになるまで。

二人がすでに微笑ましい恋人同士に見えていることを、こなみは知らない。






友人のHPの完成祝いです。
GS初書きだったりします。
葉月と書くべきか、珪と書くべきか悩んだり。
(↑くだらない・・・)
さらに最初はこなみがカタカナでした。
友人に言われて平仮名にしたけど・・・読みにくくないか?コレ?
きっと、言われなければ2度と書かないことでしょう。(またかよ)