嫌いな人



ずっと、嫌いだった。



守護聖らしくない粗暴な、人。

わたくしは、鋼の守護聖のゼフェル様をそう思っていましたわ。

価値観の違い。

向けられる、刃のような、するどい言葉。

「用がないときは来んな」

言われた拒否の言葉。

わたくしは、そこまでだった嫌われていたのかしら・・・。

そう思うと、なぜか胸が痛んで・・・。

「えぇ。」

辛うじてそれだけ言いましたわ。

「ロザリア?」

尋ねられて、ようやく自分が泣いていた事に気付きましたの。

人前で泣いた事などなかったのに・・・。

なのに、涙は止めどなく流れていく・・・。

わたくしは、無理やり微笑んで。

「失礼しましたわ。」

そう言って、踵を返しましたの。

その場にいる事は、わたくしには許すことが出来はしなかったのですわ。

「ロザリア!」

ゼフェル様に名前を呼ばれて。

それでも振り返ることなく、わたくしは走りました。

気付いてしまったのですもの。

本当は、ゼフェル様を好きだと。

その言葉の刃から身を守るために、嫌いだと思おうとしていたのだと。

けれど、気づいたからといって、何が変わるわけもなく。

言葉は、今まで以上の鋭さでわたくしを苛む。

ならば、いっそ本当に嫌いになれれば楽なのに・・・。

それさえも出来なくて、わたくしは一人、森の湖で泣きましたわ。

涙が、全てを消してくれる事を望みながら・・・。



知ればもう、戻れはしないのに・・・。










ロザリア視点、難しいですね・・・。
もう、一人称わたくし、だし、お嬢様言葉だし・・・。
何度挫折しそうになったことか。
ようやく書き上げたものの、見直せば・・・な感じですし。
タイトルはロザリアからみたゼフェルです。
気付く前、ですけどね。