我が夢と彼の想い



夢がありました・・・。



私には夢があった。

それは、私の家にとっての『夢』だった。

けれど、私は疑うことなく、その夢に向かって進んでいった。

幼い頃から、それを当然とされた・・・

だからあるいはそれは当然の事だったのかも知れない。

迷いもなく、まっすぐに夢−女王の道を進む私。

今見れば、愚かな盲目。

そう、あの時までは。

あの時、ランディ様への想いに気付くまでは。

気付けば止められなくて。

けれど、想いは伝えられなくて。

私は女王候補で、ランディ様は守護聖。

そんな常識が頭をよぎって・・・。

否。

否、本当は怖かった。

女王になるのは恐らく私で。

あの頃、それほどにアンジェリークとの差は開いていて。

だからこそ、断られた時の事を考えてしまった。

断られて、それでも女王となった時のその時の事を。

伝えられぬまま女王になって。

そして、今。

その力は衰え始めている・・・。

「ロザリア。」

不意にランディの声が聞こえて、私は苦笑した。

だって、それは聞こえるはずが無い声。

とうとう幻聴が聞こえるようになったのか・・・と思った。

けれど、振り返ると、ランディが居て。

「君に伝えたい事がある。」

真剣な表情に、眠らせていた想いが目覚め始めて。

「ずっと、君が好きだった。」

それは、あの頃望んだ言葉でしたわ。

けれど今、聞きたくなかった。

「今さら・・・ですわね?」

するりと口から出た言葉は他人事のように静かで。

けれど、自嘲に満ちていた。

本当に今さらな言葉。

私はもうすぐこの地を去る身で。

ランディは、これからも永遠に似た時を生きる。

「そうかもしれない・・・でも」

一瞬の間を置いて、ランディは続けた。

「でも、伝えておきたかった。今までも、これからも、君だけを愛してる。」

思わず、涙が出るのを、私は止められなかった

「随分、遠回りをしてしまいましたわね?」

冗談のように明るく言った。

けれど、本当にそう思った。

「そうだね。」

穏やかにランディが言って、私に口付ける。

想いが重なったのを感じた。






『彼女の夢と我が想い』と対の作品です。
ロザリアの一人称チック。
でも、一人称にはなってません。(苦笑)
やっぱり、一人称は苦手だ〜。
タイトルはも対にしてみました。
『わがゆめとかのおもい』です。(かれではなく・・・。)
オマケありなので、ずずいと下へどうぞv












































「ロザリア!!」

ランディの賑やかな声が聞こえて、扉が開く。

私がゆっくりと顔をあげると、目の前にランディの顔があった。

「ランディ?」

その顔は、ひどく嬉しそうで。

一体何があったのだろうと、私はいぶかしんだ。

「新しい風の守護聖が決まったよ!」

希望の風が聖地にふく。