青い炎
「わたくし、アンジェリークに勝ってみせますわ。」
静かに燃える瞳で、彼女は言った。
その言葉は残酷なもの。
彼らの道を別つ、そんな言葉・・・。
けれど、彼女は・・・ロザリアは一つの迷いもなく言った。
瞳に宿る青い炎は、彼女の決意が固いことを意味している。
そういえば、青い炎は赤い炎より熱いと何かの歌でいっていたっけ?
どこか他人事のように考えてランディは彼女を見やる。
「ランディ様?」
ロザリアがランディを覗き込む。
その瞳が不安げに揺れるのを見て、ランディはなんでもないよと首を振った。
言える訳がない、あんな言葉を聞かされた後に・・・。
実は、彼女が好きだということ。
女王にならず側にいて欲しいと望んでしまったこと。
二人の距離は恋人未満、友達以上。
何度となく日の曜日を共に過ごし、いつの間にか想いが芽生えた。
あるいは、彼女も・・・?と思っていたのだが。
今日言うつもりだった言葉は、けれど、二度と言うことはないのだろう・・・。
ロザリアは思いふけったランディを再び覗き込む。
あるいは・・・ひきとめられる?
ふとそんな考えがよぎる。
いけないことだと知っていながら、言葉は止められない。
「俺、ロザリアが好きだよ。」
胸に秘めておこうと思った言葉は、声に出すと簡単だった。
「知ってますわ。」
至極あっさりと、ロザリアは返した。
その顔に驚きはない。
そして、知っていながら言ったという事は、つまり・・・。
つまり、共に歩む気はないということなのだろう。
そこまで考えて、苦笑する。
そうか・・・。
心はひどく穏やかだった。
怒りや悲しみや憎しみはない。
ただ、純粋に応援したいという気持ちだけが残った。
「だから、わたくしアンジェリークに勝ってみせますわ。」
「?」
永遠にも一瞬にも思える間を置いて、ロザリアが言う。
その言葉に違和感を感じた。
『だから』?
伝えた彼を傷つけたと、そう思っているのだろうか?
けれど、そんな考えはどこかしっくりとこない。
そして、ある希望が生まれる。
もしかして・・・?
けれど、ランディは期待を封じた。
もし違ったらと思うと怖かった。
「『だから』?」
無意識に出た言葉に、ロザリアが頷く。
「えぇ、アンジェリークに負けるなんて、わたくしのプライドが許しませんもの。」
そして、綺麗に微笑んだ。
「そして、女王陛下に直接申し上げるのですわ、女王の座を辞退しますと・・・。」
希望は現実となり、未来は動き出す。
恋も試験も・・・というのは欲張りかもしれませんけど。
そう言って笑った彼女は、今までのどの笑顔よりも綺麗で。
一生忘れないだろうと、ランディは思った。
リクは強きなロザリアということでした。
・・・が、はたして強気なロザリアになったかは謎。(爆)
ランディ様の気弱さにどうしても目がいってしまいます。(苦笑)
ランディ様ファンの皆様ごめんなさい・・・。
タイトルは途中引用した言葉より。
『青い炎は赤い炎よりずっと温度が高い〜♪』って歌詞知ってます?
そこから引用。
私信になりますが、もゆ様、素敵なリクエストを頂いたのに遅くなって申し訳ないです。
この話はもゆ様に捧げます。
貰っていただけると幸いですv
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