恋のはじまり



それは日の曜日の事だった。

ただの日の曜日。

けれど、リモージュにとっては特別な日だった。

今日はリュミエールの私邸に招かれているのである。

ウキウキとして支度をし、寮をでる。

女王試験も中盤に差し掛かり、最近仲のいい守護聖が出来てきた。

中でも特に仲の良いのがリュミエールだった。

不意にノックの音が響く。

リュミエールが来たのだろうか?

「はい!」

大きな声で返事をして、慌てて扉を開けると、そこには思ったとおりの人物がいた。

「おはようございます。少し早かったでしょうか?」

アンジェリークは首を横に振る。

リュミエールが来たのはちょうど約束の時間。

それでも、思いやっての言葉に彼の優しさを感じる。

「それでは行きましょうか?」

リュミエールの微笑みながらの言葉に頷き、二人は水の館へ向かった。






リュミエールの館はとても趣味がよかった。

青で統一された部屋に通される。

「さあ、お茶が入りましたよ。」

美味しそうなお菓子に、薫り高いハーブティー。

絵から目を逸らすのは躊躇われたけれど、お茶の用意されたテーブルについた。

リュミエールのいれたカモミールティーは、美味しかった。

お菓子も見た目と違わず美味しくて。

けれど、なによりリュミエールとの話は、とても楽しいものだった。

「そうですね・・・ハープをお聞かせしましょうか?」

リュミエールのハープは素晴らしいものだと聞いていたので、

アンジェリークは首を縦に振った。

リュミエールはそんなアンジェリークに微笑を浮かべ、そして、ハープを取ってくる。

その繊細な指から流れた曲は、聞いた事のない曲。

明るく、けれど、決してその曲の美しさは損なわれていない。

曲が終わった時、もっと聞きたいと思っていた。

「素敵な曲ですね・・・」

穏やかな笑みを浮かべて言ったアンジェリークに、リュミエールは微笑を浮かべる。

「私が作った曲なのですよ。」

驚いてリュミエールを見る。

曲まで作れるとは思わなかった・・・。

守護聖と一般人の違いかも知れない・・・。

そんな事を考え、すこし暗くなる。

当たり前のことなのに・・・。

俯いたアンジェリークを、リュミエールはすこし不安げに見る。

そして、続けた。

「アンジェリークという曲なのです。貴女の為に作ったのですよ。」

暗くなった彼女を励ますための嘘かも知れなかった。

けれど、その言葉にアンジェリークは少し紅くなり、明るい笑顔を浮かべた。

アンジェリークの恋がはじまった瞬間だった。






暖明様への捧げ物です。
そして、いつも以上に意味不明(汗)
ほのぼの・・・といったリクだったのですが・・・。(爆)
相手は勝手にリモージュちゃんに。
コレットちゃんでもよかったんですけどね。(笑)
下に更に意味不明のオマケがあります。
ハッピーエンド仕様なので、お気が向いたときにどうぞ。













































リュミエールの館に招かれるのは何度目だろう?

ぼんやりとそんな事を考え、招かれるままに部屋へ入った。

そこには美しい天使の絵が飾ってあった。

「綺麗な絵ですね・・・。」

思わず溜め息をつきながら絵を見る。

金の光を放つ天使は、ひどく優しい笑みを浮かべていた。

まるで、リュミエールの笑みのようだ・・・。

「それは、私が描いたのですよ。」

「リュミエール様が・・・?」

リュミエールが絵を描くのは知っていた。

けれど、これほどとは・・・。

少し紅くなって、リュミエールが続けた。

「その絵は、貴女がモデルなのですよ。」

その言葉に、胸が高鳴る。

してはならない期待をしてしまう・・・。

リュミエールが口を開くのがひどくゆっくりに思える。

「貴女を愛してます。アンジェリーク・・・。」

それは、二人の物語の始まりの言葉。


Fin