手紙



手紙を書きながら、メルは彼女の事を思い出していた。

出会いは女王試験。

選ばれた二人の候補の為にメル達は聖地に招かれた。

始めて会った彼女は、どこか頼りなくて。

人の事を言えない立場なのに、密かに心配した。

女王になるのはもう一人の、金の少女だと思った。

2度目は、占いの館。

周りの人との事を占いに来た時、不安そうに水晶球を見つめていた彼女。

占いの結果をおずおずと彼が口にすると、彼女は笑顔でお礼を言った。

その時思った。

あぁ、なんて笑顔が似合う人なんだろう、と。

3度目は公園。

何気なく散歩している途中に、彼女を見つけた。

彼女は小鳥の手当てをしていたっけ・・・。

その時思った、なんて優しい人なんだろうって。

それから何度か顔をあわせた。

会うたびに元気に挨拶をする彼女。

そして確信した。

彼女こそ、女王になる人だと。

やがて、終わりはきた。

予想通りの結果を携えて。

彼女は女王になった。

再会は必然。

女王を助けるための旅だった。

彼の力が必要だといった彼女に、彼は頷いた。

ひどく、懐かしくて。

そして、一つの想いに気付く。

けれど旅は終わりを告げる。

想いを伝えられないままに。

3度目の出会いは偶然。

霧に攫われた先に彼女が居た。

あるいは、それさえも必然だったのかも知れない。

変わらない笑顔と、明るさ。

再会した彼女は美しくなっていた。

そして、心に決める。

今度こそこの思いを伝えようと。

けれどやっぱり伝えられなかった。

そうして彼女は自らの宇宙へ帰っていった。

そして、今。

想いを伝えるために手紙を書いていた。

書きたいことはたくさんあるのに、言葉に出来ない。

それでも、何とか書き終えて、手紙の精霊にそれを託した。

託した後で準備を始める。

彼女のもとへ行くための準備を。






最初に想っていた話と、随分変わってしまいました。
でも、結構気に入っています。(爆)
メルの書きにくいこと、書きにくいこと。(笑)
まぁ、でも、オールキャラのためだと思って頑張りました。(笑)
下にオマケあり。
最初は下のオマケが本編でした。(爆)
あまりに短いのでボツ。
でも、まぁオマケならいいかなって。(笑)









































女王陛下を救う旅が終わって何度目かの春が来た頃。

僕らは再び出会えたね。

君はとっても綺麗になっていて。

その笑顔は前以上に輝くもので・・・。

けれど、神様が与えてくれたそんなチャンスにも、僕は何も出来なかった。

言おうと思えば言えたのに・・・。



君が好きです。

あの時、結局言えなかったから。

だから、こうして手紙を書いてます。

僕は君が好きです。

この手紙を書き終えたら、君がいる宇宙へ行こうと思います。

君に、ちゃんと好きだと伝えるために・・・。


メル