約束



二人の女王候補が聖地に来てしばらくたった、ある日。

セイランは一人、窓の外を見ながらお茶を飲んでいた。

と、扉がノックされる。

「はい、開いてるよ?」

イスから立とうともせずに言ったセイランの言葉に、扉が静かに開かれる。

現れたのは栗色の瞳の女王候補・・・アンジェリーク・コレットである。

「やぁ、アンジェリーク。僕に何か用かい?」

穏やかに尋ねる。

もちろん、平日たる今日、用といえば学習だろうが・・・。

「あっ、はい、あの・・・。」

少女は口ごもり、少し俯いた。

もう一人の女王候補と違って、彼女はひどく頼りない感じがする。

(まったく・・・)

心の中で呟きながらカップを置き、セイランは立ち上がった。

「はっきり言わないとダメだよ、アンジェリーク。

 君は女王になるかもしれない人なんだから。」

もっとも、なって欲しくなど無いが・・・。

心の中で付け足しつつ、彼女に背を向け、窓を開ける。

爽やかな風が部屋を駆け抜ける。

「それで、用は?」

何時までも用件を言わない彼女に少し苛立ちながら聞く。

「えっと・・・今度の日の曜日、お暇ですか?」

少女は小さな声で言った。

その内容はあまりに意外で・・・。

彼の思っていたものとはかけ離れていた。

「特に用はないけど?」

その先に続く言葉を予想して、少し意地悪く尋ねてみる。

「それじゃあ、私と出かけしてくれませんか?」

言われた言葉に思わず微笑をもらし・・・。

そして、あの少女がどんな顔をしてそんな言葉を言ったのかと振り返ると、

顔を紅く染めた少女がそこにいた。

「僕は約束は嫌いなんだ。」

何かに縛られるのは嫌いだった。

肩をすくめて言うと、アンジェリークはしゅんとした顔になった。

ころころと変わる表情が面白い。

「でも、いいよ。日の曜日だね?」

ぱっと笑顔になったアンジェリークに皮肉な笑みではない微笑を贈りながら。

彼女との約束になら縛られてもいいかもしれない・・・とそう思った。






天邪鬼ですね〜セイラン。
まぁ、なんとなく約束とかって嫌いかなぁ?とか思ってこういう話に。
2のセイラン好きなんですよね、最近。
デートと言わないのがアンジェリークらしいかなとか。(笑)
でも、きっとからかうんでしょうね、セイラン。



「デートに行きましょうって素直に言えばいいのに。」
「えっ!(真っ赤になる)デートなんかじゃ・・・!」
「へぇ?違うんだ?」
「えっ、あの・・・(泣きそうな顔になる)」
「冗談だよ、冗談」



て、感じでしょうか?(笑)