彼の天使



緑の風が吹いていた・・・。

木々が鮮やかに色を増し、風が緑を揺らす季節。

木々が一番美しいその時。

その並木道も他の木々の例に漏れず、色を濃くしていた。

瑞々しい葉が風に揺れる。

そんな様子を、一人の少女が見ていた。

瞳は木々と同じ緑。

髪は、木々を抱く大地の色。

彼女はかつて天使だった。

「アンジェリーク!」

名前を呼ばれ、少女が振り向いた。

現れたのは青い瞳の青年。

風を司る・・・。

「ランディ様。」

アンジェリークは恋人の名を呼ぶ。

「『様』はいらないだろう?」

苦笑して青年−ランディは言った。

その言葉にアンジェリークは微笑んだ。

「そうでしたね、ランディ。」

「敬語も要らない。」

そう、もう一度苦笑しつつランディが言うと、アンジェリークも苦笑を洩らした。

そのままアンジェリークは再び気に目を向けた。

風が木々を揺らす。

そんな様子をぼんやりと眺めていると、ランディに後ろから抱きしめられた。

「後悔してる?」

「そうかもしれない・・・。」

ランディの問いに、淡々とアンジェリークが答える。

感情のこもらない、どこか上の空な声。

けれど、次の瞬間アンジェリークは微笑むと、言葉を続けた。

「でも、たとえもう一度選べと言われても私はこの道を選ぶわ。何度だって。」

どこか独り言めいた、決意に満ちた声。

その声にランディは笑顔になった。

それでこそ、彼女だ。

そう思い、腕に少し力をこめる。

強くて綺麗な天使・・・けれど、本当は弱いただの女の子。

今はもう、彼だけの天使。






またまたランディ様の話になってしまいました。
リュミエール様の話はどうした?自分・・・。
そして、訳わからない度MAX。
まぁ、終わってしまいましたが5月のイメージで。
別バージョン・・・というより手直し版書きたいです。
だって、このままじゃねぇ・・・。
どうも、私は後ろから抱きしめるのが好きなようです。