共にあるという真実



2度目の女王試験が終わって初めての日の曜日の事だった。

聖地は再び以前時を刻みだしていた。

少しずつ、変化を孕みながら・・・。





穏やかな風が吹いていた。

さんさんと、太陽が照りつけている。

緑の丘に、一組の恋人達がいた。

風の守護聖ランディと、女王補佐官のロザリアである。

「それで、ゼフェルがさ!」

ランディがロザリアに振り向く。

今日、私邸を出るときに少しいざこざがあったらしい。

話を聞いていると、ゼフェルが、

ロザリアと出かける準備をしているランディをからかったようだ。

・・・といっても、ケンカにはならなかったようだが。

「随分と変わりましたね。」

微笑みながら言うロザリアを、ランディがきょとんとした目で見返した。

「昔なら、そこで、絶対にケンカになってたのに。」

最初に二人に会った頃、二人の間は、もっとピリピリとした雰囲気だった。

ロザリアの言葉にランディは少し照れた顔になった。

そして、微笑みながら続ける。

「変わった・・・っていう、自覚はないんだけどね。けど・・・。」

下からロザリアを覗き込むようにして見る。

青い二つの視線が交差した。

「けど、もし変わったというのなら、君のおかげだよ。」

ランディの言葉に思わず目を見開く。

それこそ、そんな自覚はなかったが・・・。

もし、自分と共にある事で良い風に変わったのだというのなら嬉しかった。

「それに、君だって変わったよ?」

ランディに言われて、自分のことを考えてみる。

けれど、どこか変わったという自覚はなかった。

「きれいになった・・・っていうもあるけどさ。

 随分と・・・こう・・・穏やかになった。」

少し紅くなりって言ったランディの言葉に再び自分のことを考える。

穏やかに・・・?

確かにそうかもしれない・・・。

女王試験の頃は、余裕がなかった。

虚勢を張って、周囲の期待に押しつぶされそうだった。

毎日、不安だった。

それを見つけてくれたのがランディだ。

『もう少し、肩の力を抜いてもいいと思うよ』

爽やかな、今と変わらない笑顔で言ったランディ。

その言葉がひどく胸に響き、そして、彼女の宝物となった。

やがて、それは恋に変わり・・・そして、今、こうして共にある。

そう、人は気付かぬうちに変わっていくものかもしれない・・・。

けれど、きっと良く変わっていけるだろう。

ランディと共に有れば・・・。






リクエストのランディ×ロザリアです。
少しでもイメージに近づける事が出来たでしょうか・・・?
BGMはKinkiKidsの『愛のかたまり』でした。
「変わっていく貴方の姿、どんな形よりも愛しい」・・・。
という事で、こんな感じに。
きっとこの二人は穏やかに、しかし、確実に向上していく事でしょう。
そして、もちろん後日談ありです。
ずずいと下へ行ってくださいませ♪
最後に・・・この話は姫香様へ捧げます。
貰ってくださると幸いです。
こんな微妙な話になってごめんなさい。(苦笑)
またのリクエストをお待ちしてます☆





































聖地を去って、何度目かの夏が来た。

夏が来るたびに思い出す。

あの聖地の丘で過ごした幸せな2人の時を。

「ロザリア〜!」

ランディの声がして、ロザリアは微笑みながら振り向いた。

「だめじゃないか、大事な身体なんだから・・・」

ランディは小言を言いかけて・・・ロザリアの穏やかな視線と出会った。

少し不思議そうな顔になる。

「何かいい事あったのかい?」

穏やかに微笑むロザリアをみて、ランディが尋ねた。

「幸せだと思って・・・。」

きょとんとした顔で、ランディはロザリアを見る。

その表情は、あの丘で見た表情と全く変わらない。

すぐに考えている事が顔に出るところも。

「ねぇ、あなた?この子が生まれたらあの丘に行きましょうか?」

お腹を優しくなでながら、ロザリアが言った。

いつか、3人であの丘に行こう。

きっと幸せな時を刻める。

今度は2人ではなく3人で・・・。


Fin