紅い桜
出会ったのは炎の中だった。
眠っていた宿屋が火事になって・・・。
それを助けてくれたのだ。
それから、一緒に旅をした。
女王を救う旅・・・。
いつか終わるその旅を、不謹慎ながらもいつまでも続けばいいと願うようになった。
戦いの中、庇われる度に嬉しくて・・・でも、あの人が怪我をすると悲しくて・・・痛くて・・・。
からかう口調に怒って・・・それでも、目を離せなかった。
好きだと思った。
けれど、やがて旅は終わる・・・。
そう、終わりも炎だった・・・。
桜の花が舞っていた。
儚げな薄紅色の花は、何故かあの人を思い出させる。
あの人の最後の笑みが、あまりに儚すぎたせいかもしれない・・・。
戦いが終わって、初めての春がきた。
桜並木。
何処へ続くのか分からないその道を、アンジェリークは一人、歩いていた。
花はもう散り始め、風が吹くたび花びらが降ってくる。
やがて、ことさら見事な桜が姿を現した。
おおきな大きな桜の木。
その桜は、何故か一本だけ満開で・・・紅かった。
まるで炎のように・・・。
その桜に見入って・・・アンジェリークは、一歩また一歩と桜に近づいていく・・・。
「きれい・・・。」
呟き、桜を見上げる。
いつの間にか、大きな幹が目の前にあった。
「よお。」
風が吹いた。
振り返る前に、誰かに抱きしめられる。
そんなはずは無い、と思いつつ、その名を呼ぶ。
「アリオス・・・?」
首だけで振り返ると・・・確かに居た。
「どうして・・・?」
「さぁな。」
興味なさそうに肩をすくめ、アリオスが答える。
「気が付いたら、この下に居たんだ。」
アンジェリークはアリオスの腕を解き、今度は身体ごとそちらを向けた。
「心配したんだから・・・!」
精一杯怒った顔をし、言う。
声が震えた。
「もう何処にも行かないで・・・。」
今度は自分から抱きついて言う。
涙が止まらない・・・。
「あぁ。」
答えは風に紛れるほど小さなものだったけど・・・。
アンジェリークの耳には届いていた。
・・・ということで、サクラサクの別バージョンです。
初アリオス!!
ところで、紅い桜ってあるんでしょうかね〜?(爆)
緋桜○拍子・・・って漫画があるし、あるのかなぁ・・・?
緑(薄い黄緑)は見たことあるんですけどね。(大阪造幣局の通り抜けです)
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