白の日
「アンジェリーク、一緒に出かけないか?」
突然の事だった。ランディがそんな事を言い出したのは。
日もそろそろ暮れようかという頃の女王の執務室。
だが、ランディにはロザリアの姿も見えていないようだ。
チラリとロザリアのほうを見ると、彼女は苦笑を洩らしていた。
「ランディ・・・?」
何故急にそんな事を言い出したのかが分からなくて・・・。
呼んだ恋人の名前は尻上がりになっていた。
「いってらっしゃい、アンジェリーク。」
ロザリアにはランディの真意が分かっているようである。
クスクスと意味ありげに笑っている・・・。
「もう、今日の執務は終わりだから。」
ランディにロザリアは微笑みと共に言葉を投げかける。
「ありがとう、陛下!」
ランディは明るくロザリアに礼を言うと、
アンジェリークの答えも聞かずに彼女を引きずっていった。
パタリっとドアが閉まる。
その様子を微笑みながらロザリア見ていた。
「いいわね。私もどこかに出かけようかしら?」
呟きは笑みを含んでいた。
「ちょ・・・ランディ、痛い。」
ぐいぐいと引っ張っていく恋人に顔をしかめる。
「あぁ、ごめん・・・。」
我にかえったように、ランディが謝る。
その、しゅんとした態度にアンジェリークは笑みを洩らした。
これでは怒れない・・・。そんな事を思い、話題を変えた。
「何処へ行くの?」
「あぁ、えっと・・・。」
どうも歯切れが悪い。いつものランディならこんな風には言わないのに・・・。
「決まってないの?」
歯切れの悪いわけをそれしか思い当たらず、アンジェリークは尋ねた。
けれど、ランディはすぐに首を振る。
「そんな訳じゃないんだ。」
そんなランディの様子にアンジェリークは首をかしげた。
ランディは苦笑を洩らし
「ついてくればわかるよ。」
そう言って、アンジェリークの手を取った。
今度は痛くないようにそっと、優しく・・・。
「ここ・・・。」
アンジェリーク達の前には白亜の建物が建っていた。
聖地でも有名なパスタの美味しいお店だ。
前にアンジェリークが行きたいといっていた・・・。
「覚えていてくれたの?」
震える声でアンジェリークが言った。
ランディが覚えていてくれた、その事がひどく嬉しかった。
「うん、着くまでは秘密にしときたくてさ。」
少し紅くなってランディは言った。アンジェリークがそんなランディに抱きつく。
「ありがとう・・・。」
「?お礼は食べてから言ってよ?」
不思議そうに言ったランディに、笑みがこぼれる。
「さ、入ろう。お手をどうぞ、天使様?」
気取って言うランディに、アンジェリークは同じように気取って手を出した。
3秒経って、二人同時に笑い出す。
こんな時がいつまでも続けば良いと思った。
「お腹いっぱい〜。」
さすがに有名なだけあって、ひどく美味しいパスタだった。
帰り道をランディと腕を組んで歩く。
「すこしより道して帰ろうか?」
そう言ったランディにアンジェリークは頷いた。
この幸せな時にもう少し浸りたいという気持ちがあった。
ランディに導かれ、着いたのは森の湖。
飛空都市のものとよく似ている・・・。
「ここは・・・。」
懐かしそうに目を細めたアンジェリークにランディは微笑んだ。
「飛空都市まで行くわけには行かないからね、ここで我慢してよ。」
アンジェリークが頷く
飛空都市の森の湖は、二人が恋人になった思い出の場所だった。
ランディは何処からか箱を取り出すと、その中から銀の指輪を出した。
アンジェリークの手を取り、左の薬指にはめる。
「チョコレートのお返し。今日、ホワイトデーだろ?」
照れ隠しに笑って言ったランディにようやくその事を思い出す。
最近忙しくて、忘れていた・・・。
「ずっと一緒に居よう、アンジェリーク。」
耳元で囁かれて、嬉しくて涙が出た。
「俺、君が笑顔でいられるよう、努力するからさ。」
君には笑顔が似合うから、とランディが言った。
「二人で幸せになろう。」
ふふふ、ラン様メインです。
いや〜、もう、ランディ様が書けてし・あ・わ・せ。(壊れ発生中)
ええ、ラン様、二人で幸せになりましょう!(自分が言わせたセリフに返答するなよ・・・)
かなり切れている場所が多いです。
何か、大分ホワイトデー過ぎてしまいましたが・・・。(バレンタインに続き、ホワイトデーまで)
まぁ、気にしないで下さい。(爆)
・・・ていうか、オールキャラ目指しているはずなのに、ラン様ばっかり書いてどうする、自分・・・。
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