Sin



風が頬を撫でていった。
それを感じて、ロザリアはそっと瞳を閉じた。

目を閉じると、風をより鮮明に感じることが出来た。
この風もランディが司る物なのだと思うと愛しい。

(いい、風・・・。)

髪を躍らせる風は、まるでランディの手のようだ。
ロザリアはそっと、優しく撫でてくれるその温かな手を思い出した。
もう直ぐ来るだろうその人を思い出して、胸はトクリと小さくなる。

「ロザリア!」

名前を呼ばれて、ロザリアは閉じていた目を開いた。
振り返ることはない。
振り返らずとも、誰の声かなんてわかっていた。
あるいは、声なんてなくても誰かなんてわかる。

―――この場所は、二人の秘密の場所だから。

「ランディ。」

ふわりと春の風の微笑んで、ロザリアはランディを迎える。
それにランディも清涼な風のように笑ってロザリアの微笑に応えた。
そしてロザリアの隣に来て、腰掛ける。

「随分涼しくなったね。」

会話はいつも自然に始まる。
他愛のない話は、時に天気の事だったり、守護聖の事だったり様々だ。
けれど、そんな何気ない会話が楽しかった。

こうやって過ごすようになって、どれほどの時が経ったのだろう?
どれほどの季節を過ごしたのだろう?
思わず考えてしまう。
―――後、どれだけの時を供に過ごせるのだろう?

「本当に・・・いい季節になりましたわね。」
「うん。でも、少し冷えるね。」

そう言って、ロザリアの手に自分の手を重ねたランディは、その冷たさにはっとした。
どれほどの時間を彼女はここで過ごしたのだろう?

「ごめん、凄く待たせちゃったみたいだ。」
「いいえ・・・。今日は少し執務が速く終わったのですわ・・・。だから、速く来すぎてしまいましたの。」
「でも、風邪でもひいたら大変だよ?」

宇宙を預かる大事な体なんだからさ、とそう言ってランディは彼のマントでロザリアを包む。

その言葉は思わず出てしまったのだろう。
守護聖として当然の。
ランディはロザリアの恋人の前に守護聖だった。
けれど、分かってはいてもその言葉に胸が少し痛んだ。

「ロザリア?」

気付けば、ロザリアは俯いていた。
けれど心配そうなランディにはっとして、顔をあげ、微笑む。
なんでもないと言った彼女を、ランディはマントの上から抱きしめた。

「ごめん・・・。」

思わず出た言葉に対する謝罪。
それにロザリアは微笑む。
責めても仕方がないことだと知っていた。
ランディの言葉が、守護聖として当然なのだと知っていた。
それでも痛む胸に、逆に罪悪感を覚える。

「いいえ・・・いいえ。」
「ごめん・・・。」

この時間だけは。
恋人同士で、守護聖と女王ではなくて。
二人ともそう願っているのに、ふとした瞬間にその関係は戻ってくる。

「いいえ・・・謝らないで、ランディ?」

もう一度そう言って。
ロザリアはランディを抱きしめた。
抱きしめた腕から、ランディの体温が伝わってきた・・・。







意味不明ですね・・・。(汗)
なんとなく打ってたらこんなことに。
そして書きたかった事は書けずじまい。(爆)
・・・なんだかなぁ。(ぇ)