A way of life



土の曜日は彼女にとって『特別』な日だった。

『特別』が始まったのは、新たな女王試験が始まったのと、ほぼ同時。
それまでは確か、日の曜日も『特別』だった。

休みだから、と言うのも理由の一つだ。
けれどそれだけじゃない。
『特別』なのは、あの人に会えるからだ。
一人の休日なんて、彼女にとって『特別』に成りえない。

あの人のことを思い、ロザリアは微笑んだ。

あの人。
彼女の恋人。
厳しくて優しい、人。

その人を思いながら、ロザリアはうきうきと準備を進める。
あの人と会う準備を。
今日は彼に会える日。

そう、土の曜日は『特別』だ。
二人で出会える、数少ない時間の一つだから。
だから、今日も『特別』な日。

ふと時計を見ると、時間は待ち合わせの10分前。
待ち合わせはいつもと同じ時間、同じ場所。
いけない、とロザリアは珍しく一人呟くと、後片付けもそこそこに部屋を出た。
そして、小走りで待ち合わせの場所へと向かう。

待ち合わせ場所に着くと、その人はもう、彼女を待っていた。
そこに居るだけで漂う、威厳と気品。
思わずその人に見蕩れそうになって、ロザリアは頬に手を当てた。
頬は微かに熱を持っていた。

ロザリアはその熱を冷ますように一つ息を吐く。
もちろん、そんな事で熱は少しも収まらなかったけれど。
それでも、気持ちは少し落ち着いた。

それから、ロザリアは緊張気味にその人に声をかけた。
その人に声をかけるときには、いつも緊張する。

「ジュリアス。」

らしくもなく大きな声が出たのは、緊張のためだ。
ドキドキ高鳴る胸を押さえて、ロザリアは振り向いた恋人の元へ駆け寄る。
そんな彼女を見て、ジュリアスの眉間に皺が寄った。

「遅れてしまってごめんなさい。」
「ロザリア・・・そなたは女王補佐官なのだぞ?」
「常にそれを心に置き、女王補佐官らしい態度を・・・ロザリア?」

そして、そう開口一番に小言を言い始めた。
そんなジュリアスと裏腹にロザリアはクスクスと笑いを洩らす。
その様子を、ジュリアスは怪訝そうに見ていた。

「ごめんなさい・・・。でも貴方らしいと思って。」

クスクスとまだ笑いながらロザリアはそう洩らす。
ほんとうに『らしい』と思う。
時間に遅れたことよりも、補佐官らしからぬ態度を叱る辺りが。

「ねぇ、ジュリアス、覚えてらして?前にもこんな事がありましたわ。」

あれはまだ女王候補の頃だった。
急いでいたロザリアは聖殿の廊下を走ってしまったのだ。
それをジュリアスは『女王候補らしからぬ態度』だと叱った。

叱られた当初は、少し苛立った。
彼女だってわかっていたのだ、そんな事。
それでも急いでいて。
なのにそれを責めるジュリアスに怒りを覚えた。

・・・けれど。

その人の生き方を見ているうちに、この人になら叱られてもしょうがないと思うようになった。
人に厳しい以上に、自分に厳しい人だと気付いた。

たぶん、この人に恋をしたのは、その瞬間だ。
その生き様を愛しいと思った。

「ねぇ、ジュリアス。わたくし、貴方を好きですわ。」

唐突にそう言ったロザリアにジュリアスは驚いたように瞳を開いて。
それにロザリアはまた微笑む。

きっとこんな告白も『女王補佐官』らしからぬ事。
それでも、いくらジュリアスに叱られても。
これだけは止めるつもりはなかった。







久しぶりの更新です。
なんとなく、ジュリアスとロザリアって似た者同士なイメージです。
なので、このCPってどんな感じだろう、と書いてみました。
タイトルは一応『生き方』という意味です。(たぶん)
管理人は英語嫌いなので、突っ込みなしの方向でお願いします。(爆)